酵素詐欺という言葉が生まれて久しいですが、いまだに酵素関連の健康食品はたくさんあります。
そこで、酵素を体外から取り入れて効果があるのか、販売会社はどのような謳い文句で酵素ドリンクを販売しているのか検証してみようと思います。
以下のリンクのように、同様の検証はたくさんされているので、ここでは販売会社の主張を分析してみよう思います。
酵素とは?
酵素についての詳しい説明は他所に譲りますが、ポイントは以下の2点です。
- 主としてたんぱく質でできている
- 気質特異性・反応特異性がある
気質特異性・反応特異性
高校で化学を選択した人は学習したと思いますが、簡単にいえば、特定の条件下で特定の作用しかしないということです。
例えば、体内の消化酵素であれば、胃の中(特定のPHだったり温度だったり)で、タンパク質を分解する(特定の作用)といった作用があります。
様々な種類の様々な効能を持つ酵素が存在しますが、そのどれもが主にタンパク質でできているため、上記の消化酵素で分解されてしまいます。そのため、酵素を体外から取り込んでも全く効果がないとされています。
販売会社の主張について検討してみる
酵素を体内に取り入れると分解されてしまうことについて、酵素ドリンクを販売する会社に見解を聞いた人がいます。
その見解をまとめると、主な主張は以下の3パターンです。
- 酵素そのものではなく、体内の酵素を活性化させる
- 強酸にも加熱処理にも耐える酵素である
- タンパク質と非タンパク質でできているため、分解されても非タンパク質が効果を発揮する
体内の酵素を活性化させる!?
1はそもそも取り入れているのは酵素でないと認めています。
酵素が入っていないドリンクを、酵素ドリンクとして販売することに対する疑問と、体内の酵素を本当に活性化するかは、また別の検証が必要ですが、酵素ではないと認めているのでここでは論じません。
強酸にも加熱処理にも耐える!?
2は一見すごい酵素に思えます。
前提として、酵素ドリンクは加熱処理をして販売されています。
この見解は、その加熱処理にも、胃酸を想定した強酸にも耐えると主張していることになります。
しかし、よく考えてみると、酵素で商売をしながら酵素の特性を無視した頓珍漢なことを言っていることがわかります。
上述したように、タンパク質分解酵素は体内でタンパク質を分解するという作用を持っています。
体内と異なる環境下で、強酸に耐えようが高温に耐えようが、体内と同じ条件下でタンパク質分解酵素に耐えることを証明しなければ、酵素が体内で働くことの証明にはなりません。
全く意味のない主張をしている時点で、このような主張をしている販売会社はかなりグレーであると言えます。
分解されても効果がある!?
3の主張は酵素が体内で分解されることを認めてはいますが、タンパク質の部分は分解されても非タンパク質部分が効果を発揮すると主張しています。
しかし、タンパク質と非タンパク質に分解されてしまったら、そもそも別の物質であって元の酵素ではありません。
車を分解してネジだけを取り出して、そのネジは車の性能があると言ってるようなものです。
さまざまな物質が結合してできているものが酵素であって、分解されてしまえば別物です。もちろん分解されてしまった後の物質は栄養素にはなるかもしれませんが、酵素としての効能があるはずがありません。
この主張をしている販売会社も、詐欺の疑いが高いと言えます。
まとめ
以上のように、酵素を体内に取り入れてそのまま効果があると主張する酵素ドリンクの販売会社はなくなったようですが、依然として根拠のない言動をしていることがわかります。
仮に、体内に酵素を取り込むことができるとしても、酵素は様々な種類があって、効果も様々なので、どのような条件でどのような効能があるかわかっていなければ全く意味をなしません。
効能のわからない酵素が体内で働くとしたら。。。
それは体内でパルプンテを唱えてるようなものです(笑)
善玉菌を殺す作用かもしれないし、腸壁を溶かす作用かもしれない……。
怖くて仕方ありません。
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