今年もレギュラーシーズンが終了し、各部門の成績が出ました。
打者三冠、投手の最多勝・最優秀防御率など、今年は外国人選手や移籍選手を抑え、数多くの部門で生え抜き選手がタイトルを取っています。
山田哲人選手(ヤクルト)や柳田悠岐選手(ソフトバンク)の、両トリプルスリー&タイトル獲得を筆頭に、大谷翔平選手(日本ハム)や前田健太選手(広島)、中村剛也選手(西武)等など、タイトルを獲得した選手以外にも、生え抜き選手が多数活躍しました。
そこで、各球団でどのくらいの生え抜き選手が活躍しているのか、生え抜き率をランキングしてみることにしました。
2016年版はこちら↓
計算方法
所属人数の割合・主力選手の数・打席数や安打数など、様々な計算方法が考えられるのですが、一軍の試合に出場してこそ活躍と言えるため、一軍の出場実績をもとに計算していきたいと思います。
投手と野手では計算方法が異なるため、別々に集計します。
特殊なケースとして、広島の新井貴浩選手や黒田博樹選手、平野恵一選手(オリックス)、川上憲伸選手(中日)などの出戻り選手に関しては、一度チームから移籍しているため、純粋にその球団で育成されたとは言えないので、生え抜き選手とは扱いません。
オリックスや楽天に所属している分配ドラフトでチームを移った選手は、移籍をしたわけではないので生え抜き選手として扱います。
郭俊麟選手(西武)のように、外国人選手であってもプロリーグを経験していない選手は、生え抜き選手として扱います。
また、投手の打撃成績は含みませんが、大谷翔平選手(日本ハム)のみ、投手と野手のそれぞれでカウントすることとします。
投手
投手については、投球回数を基準にします。
ただ、単純に投球回数を基準とすると、先発投手の貢献度が圧倒的高くなり、救援投手の貢献度が低くなるため、出場試合数も加味します。
投球回数 + 出場試合数 = 出場ポイント
例えば先発投手の場合、
前田健太(広島) 206 1/3(投球回数)+ 29(出場試合数)= 235 1/3
大谷翔平(日本ハム) 160 2/3(投球回数)+ 22(出場試合数)= 182 2/3
藤浪晋太郎(阪神) 199 (投球回数)+ 28(出場試合数)= 227
菅野智之(巨人) 179(投球回数)+ 25(出場試合数)= 204
救援投手の場合は、
山﨑康晃(DeNA) 56 1/3(投球回数)+ 58(出場試合数)= 114 1/3
増井浩俊(日本ハム) 60(投球回数)+ 56(出場試合数)= 116
澤村拓(巨人) 68 1/3(投球回数)+ 60(出場試合数)= 128 1/3
これでも先発投手が有利ではありますが、結果に対する責任を考えれば、このような計算方法が妥当ではないかと考えます。
野手
野手については、打席数を基準とします。
この場合、代走や守備固めで出場した選手は計算に入らなくなるため、ここでも出場試合数を加味します。
打席数 + 出場試合数 = 出場ポイント
山田哲人(ヤクルト) 646(打席数)+ 143(出場試合数)= 789
柳田悠岐(ソフトバンク) 605(打席数)+ 138(出場試合数)= 743
代走・守備固めの選手は、
鈴木尚広(巨人) 22(打席数)+ 65(出場試合数)= 87
赤松真人(広島) 9(打席数)+ 52(出場試合数)= 61
代走や守備固めの選手の貢献度が低くなりますが、打力を含め総合的にすぐれていれば当然先発で出場しているはずですので、このように計算することとします。
生え抜き選手の合計出場ポイント/チーム内の全選手の出場ポイント = 生え抜き率
以上の計算方法で、投手と野手のそれぞれのランキングを作りました。
成績なども加味できれば面白いのですが、どの成績をどの程度考慮するかが難しいのと、ここでは単純に生え抜き選手の出場割合を出したいので、成績は一切考慮しないこととしました。
生え抜き率ランキング
投手
球団 | 生え抜き率 | チーム防御率 | |
1位 | 西武 | 96.08% | 3.69(パ・リーグ4位) |
2位 | 中日 | 83.91% | 3.19(セ・リーグ3位) |
3位 | 日本ハム | 78.83% | 3.62(パ・リーグ3位) |
4位 | 楽天 | 77.31% | 3.82(パ・リーグ6位) |
5位 | オリックス | 76.02% | 3.59(パ・リーグ2位) |
6位 | DeNA | 73.40% | 3.80(セ・リーグ6位) |
7位 | 阪神 | 73.25% | 3.47(セ・リーグ5位) |
8位 | ロッテ | 68.71% | 3.69(パ・リーグ5位) |
9位 | ヤクルト | 65.00% | 3.31(セ・リーグ4位) |
10位 | 広島 | 64.03% | 2.92(セ・リーグ2位) |
11位 | 巨人 | 62.25% | 2.78(セ・リーグ1位) |
12位 | ソフトバンク | 50.74% | 3.16(パ・リーグ1位) |
おおむね予想通りの結果となりました。
少し寂しい結果ですが、生え抜き率の低い球団ほど、成績が良い傾向にあります。
両リーグのチーム防御率トップであるソフトバンクと巨人の生え抜き率は、12球団ワースト1、2位です。ソフトバンクに関しては、生え抜き率ダントツ最下位で、パ・リーグチーム防御率はダントツトップです。
生え抜き率トップの西武は、1軍の試合に登板した選手の内、バスケス選手以外はすべて生え抜き選手であり、圧倒的な生え抜き率となりました。一方で、パ・リーグ4位のチーム防御率3.69と成績は少し物足りないものとなりました。
生え抜き率上位で健闘しているのは、セ・リーグチーム防御率3位の3.19だった中日でしょうか。1軍の登板選手で非生え抜き選手は、バルデス選手・八木智哉選手・ ネイラー選手のみ。207イニングを投げた大野雄大選手が大きく貢献しています。
意外なところでは、広島の生え抜き率の低さと阪神の高さでしょうか?
広島は、黒田博樹選手を生え抜きに含めれば6位となりますが、それにしても意外な低さです。前田健太選手以外の生え抜き選手の投球回数が低いことと、ジョンソン選手・ヒース選手・一岡竜司選手が活躍したことで、生え抜き率が下がりました。
阪神は、メッセンジャー選手・呉昇桓選手の両外国人選手が生え抜き率を下げましたが、先発4本柱の内、藤浪晋太郎選手・岩田稔選手・能見篤史選手の3人がローテーションを守ったことで、生え抜き率を上げました。救援投手も高宮和也選手以外はほぼ生え抜き選手であり、生え抜き選手と非生え抜き選手がバランスよく活躍した球団と言えます。
野手
球団 | 生え抜き率 | チーム打率 | |
1位 | ヤクルト | 83.50% | .257(セ・リーグ1位) |
2位 | 西武 | 78.38% | .263(パ・リーグ2位) |
3位 | ロッテ | 75.91% | .257(パ・リーグ4位) |
4位 | DeNA | 73.15% | .249(セ・リーグ3位) |
5位 | 広島 | 72.34% | .246(セ・リーグ5位) |
6位 | 日本ハム | 71.01% | .258(パ・リーグ3位) |
7位 | ソフトバンク | 66.97% | .267(パ・リーグ1位) |
8位 | 中日 | 60.91% | .253(セ・リーグ2位) |
9位 | 巨人 | 56.31% | .243(セ・リーグ6位) |
10位 | 楽天 | 52.23% | .241(パ・リーグ6位) |
11位 | オリックス | 52.12% | .249(パ・リーグ5位) |
12位 | 阪神 | 45.59% | .247(セ・リーグ4位) |
こちらは投手と違い、生え抜き率が高いと成績もよい傾向にあります。
生え抜き率トップのヤクルトは、チーム打率もセ・リーグトップです。山田哲人選手・川端慎吾選手・雄平選手・畠山和洋選手・中村悠平選手と5人の生え抜き選手が130試合以上出場し、バレンティン選手等、外国人選手の出場が少なかったため、生え抜き率が上がりました。
2位の西武は130試合以上出場した選手が7人もいて、7人の内メヒア選手以外は生え抜き選手であるため、高い生え抜き率となり、成績もパ・リーグ2位です。
生え抜き率の低かった阪神は、ゴメス選手・マートン選手・福留孝介選手の3人非生え抜き選手が140試合以上出場しており、生え抜き率を下げました。
巨人・楽天は生え抜き率も低い上に、チーム打率もリーグ最下位となり、補強が結果を出していないことがわかります。
ソフトバンクは、投手の時と違い、そこまで生え抜き率は低くありません。移籍選手で出場機会が多いのが、内川聖一選手・李大浩選手くらいで、柳田悠岐選手 ・松田宣浩選手 ・中村晃選手 ・今宮健太選手など、様々なタイプの生え抜き選手が育っていて結果も伴っており、補強と育成のバランスがうまくいっていると言えます。
まとめ
投手・野手共に生え抜き率の高かったのは西武、両方とも低かったのは巨人と、納得の結果となりました。
ただ、生え抜き率が高いと予想していた、日本ハムや広島は、そこまで高くはありませんでした。それでも、日本ハムは投手・野手共にそれなりに高い生え抜き率で、結果も出していることから、育成上手な球団であるということは間違いないように思います。
育成下手のイメージがあるのは巨人・阪神・ソフトバンクでしょうか?
ソフトバンクは強力な布陣の中で、結果を出す生え抜き選手も多数いて、補強による競争の激化が生え抜き選手にも良い影響を与えているように思います。
巨人は投打ともに生え抜き率が低く、非生え抜き選手に頼るところが多いのですが、必ずしも補強した選手が活躍しているわけでもなく、補強も育成も問題がありそうです。
阪神も、獲得した選手の活躍率が高いのは評価できますが、投手はともかく、野手に関しては育成がうまくいっていないように思います。
今回、2015年のレギュラーシーズンの生え抜き率を調べてみてわかったことは、チームの順位と生え抜き率はそこまで関連性がないということです。関連性があるとすれば、投手の生え抜き率とチーム順位が逆相関にあるということぐらいでしょうか。投手の生え抜き率が低くBクラスだったのは広島のみ、逆は日本ハムのみです。
生え抜き率が高ければよいというものではなく、補強した選手がしっかり活躍し、そこに生え抜き選手が割って入る。補強と育成をバランスよくする。この当たり前のことが、チームを強くするのに重要なんだと再認識することができました。
コメント
2016年バージョンもやってほしいです!
コメントありがとうございます。
2015年版が大変好評だったので、2016年もレギュラーシーズンの全日程が終了次第、すぐに集計します!
もうしばらくお待ちください。