大阪府治安ランキング（昼間人口を考慮した市区町村別）

以前、昼間人口を考慮した治安ランキングの東京編を記事にしました。

東京都治安ランキング（昼間人口を考慮した市区町村別）

昼間人口を考慮することで、一般に公表されているような、実感とかけ離れた犯罪発生率が、かなり体感に近い形となりました。

昼間人口には、買い物客や観光客が含まれていないので、不完全であることは否めないのですが、通常の犯罪発生率ランキングよりは価値があると思いますので、今回は大阪府編を作成してみました。

補正した治安ランキング

人口のデータは平成22年度のもの。平成23年～27年の平均発生率です。

都道府県間の比較はしにくいが…

予想していたことですが、東京と比較すると全体的に高くなりました。

各都道府県警によって犯罪取り締まりの方針が違うため、単純に比較はできません。

殺人や強盗ならともかく、性犯罪や窃盗事件、特にスリ・万引きなどは暗数が多いので、取り締まりを強化するほど発生率が上がってしまいます。

同じような犯罪事実でも、それを事件として取り上げるかどうかでも認知件数は変わってきます。

ワースト1位は、大阪市浪速区

新世界がある浪速区が、圧倒的に治安が悪いという結果になりました。

浪速区といっても、新世界は含むけど天王寺公園は入らず、難波駅は含むけど道頓堀や千日前は含まないという微妙な立地で、編入や分離が繰り返されてきたこともあり、あまりこれといった色がありません。

移転してあいりん地区となったスラム街や日本橋の電気街など、全体的に廃れてしまって再開発の対象となっている地域が多いです。

それにしても、びっくりするほどの犯罪発生率です。

新世界に足を踏み入れたことがある人なら納得かもしれません。

以前はすさまじい光景が広がっていた天王寺公園の周辺は含まれていないにもかかわらず、この発生率です。

実際に歩くとわかりますが、新宿の歌舞伎町などとは違った怖さを感じる場所なので、観光目的で訪れる場合は注意した方がいいでしょう。

中央区・北区がワースト2、3位

大阪の2大繁華街、ミナミ・キタエリアを含む、中央区と北区がワースト2，3位となりました。

中央区は、心斎橋・アメリカ村・道頓堀・千日前といった、いかにも大阪らしい場所が多くあります。

昼間人口比率も600％を超えるオフィス街でもあり、大きな繁華街も抱える場所で、昼間人口に含まれない、買い物客・観光客の多い場所であることから、犯罪発生率が高く出ることは納得です。

北区は、大阪・梅田駅近辺や中之島を含み、中央区と同様、繁華街もオフィス街も抱えています。

イメージとしては、ミナミよりキタの方が落ち着いた印象ですが、同じような犯罪発生率だったのが興味深いところです。

ワースト4位に西成区

あいりん地区を含む西成区はワースト4位でした。

正直もっと治安が悪いと思っていたので少々意外な結果となりました。

ただ、通常、繁華街は治安が悪く、郊外ほど治安は良くなるのですが、大きな繁華街のない西成区がワースト4位であることが、治安の悪さを物語っているようです。

治安が良いのは、郊外ベッドタウン

山間部を除いて治安が良いのは、高槻市・吹田市・池田市・河内長野市といった、いわゆるベッドタウンと呼ばれる地域です。

大阪は東京のように極端な田舎は少ないので、どこからでも都心に通うことができますが、高槻市・吹田市は30万人を超える都市でありながら、治安も維持できている点で、優秀なベッドタウンといえます。

阪急沿線に比べて治安の悪そうなイメージのある京阪沿線でも、枚方市などは思ったより治安は良いようです。

一方で、堺市・守口市・門真市・東大阪市・松原市といった、比較的大阪市に近い場所や、離れていても沿岸沿いの岸和田市や泉佐野市などは、治安が悪いようです。

全体の傾向

大阪と東京を単純に比べられないのは述べたとおりですが、大きな街が点在している東京に比べ、あらゆるものが大阪市中心部の一極集中といった傾向にあります。

治安も、大阪市を中心として大阪湾に面する沿岸地域の治安が悪く、内陸ほど治安が良い傾向があります。つまり、大阪市と大阪湾から離れ、兵庫・京都・奈良・和歌山に近い山沿いが治安が良い地域ということになります。

元気がないと言われる大阪経済ですが、再生のカギは意外と、治安の向上と一極集中の解消にあるのかもしれません。